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施設内ボーンバンクBone Bank(自家骨保存)について

Bone Bank(自家骨保存)について

当院では、人工関節手術において、切除した骨頭や脛骨のうち、変形、変性した部分を除いた使用可能な部分を将来の再置換術のために保存可能となりました。(平成14年10月)
その保存方法、設備などについて、宮崎県整形外科研究会で発表いたしました。

自家骨を冷凍保存するボーンバンク 都城・橘病院が全国で初導入

2001年10月
骨を適切な加湿滅菌、ウイルス除去操作後にマイナス八五度の大型冷蔵庫に保存し、移植可能な状態に保つ「ボーンバンク」システム。
都城市の橘病院副院長、柏木輝行整形外科医師(41)が、自家骨(自分の骨)のボーンバンクを全国で初めて導入した。
変形性関節症の末期状態で行う人工関節置換術の際、切除した自家骨の使用可能な部分を、15~25年後の再置換術時に必要な補填材として保存することで、同置換術のレベルアップが期待できる。
高齢者に多い変形性関節症。前期、初期、進行期の場合は筋力アップ、体重減量、内服液、外用薬を使った温熱療法がある。
しかし、寝たきりや歩けないといった「末期」の場合は股(こ)関節やひざ関節を人工関節に置換する「人工関節置換術」の対象となる。
特に股関節疾患は女性に多く、妊娠、出産後に進行。40~50代で末期となるケースは少なくない。

2000年までの五年間でTHA(人工股関節置換術)、TKA(人工ひざ関節置換術)ともに増加。再置換数もTHAが約2倍、TKAが三倍に増えている(矢野経済研究所調べ)。
しかし、術後10~15年で人工関節と生体との間に骨欠損が生じるため、再手術しなければならない。その際に人工関節と骨とをつなぐ「骨」が必要になる。
最も生着率(人工関節や補てん材が生体になじむ率)の高い自家骨を使う場合、現在は手術中に腸骨から「自家骨」を切り取り移植する方法がある。
が、「摘出量に制限があり傷も残るため患者の肉体的、精神的苦痛が大きい」と柏木医師は指摘する。
ほかに同種骨(他人の骨)や人工骨を使う方法はあるが、病気感染、未知の病気の危険性、高価、生着率が一定でないなどの欠点も。
生体にとって最も抗原性や拒絶反応がない自家骨が最も理想的。しかし多量の骨移植が必要な場合はまれでなく、同種骨や人工骨を用いる症例も多い」(柏木医師)が現状だ。
最初の人工関節置換術で処分してしまう自家骨を残すことができれば、同種骨や自家骨、人工骨使用の一助になる」と柏木医師は考え、自家骨の保存と再利用に取り組み始めた。

ボーンバンクは九州にも福岡県に1施設あるが、「自家骨」のボーンバンクは橘病院だけ。最大1500人分の骨が保存可能。同病院では現在、50人分を保存している。
自家骨保存費用はすべて病院側が負担、再手術の費用も通常通り。採取から冷凍保存までは、日本整形外科学会の移植に関するガイドラインやボーンバンクマニュアルに従った方法で行い、管理も徹底する。
しかし、前例のない自家骨ボーンバンクの保存期間や再手術の際の有効性は未知数。
柏木医師は「保存期間がガイドラインの示す5年間(同種骨の場合)を超える可能性があり、骨の保存と管理の感染対策には十分に配慮していく」と説明する。
その上で「人工関節置換術は重症の患者にとって社会復帰、精神状態の回復につながる」とその意義を訴えている。

写真/「関節外科医にとって、自家骨ボーンバンクは夢のシステム」と導入した機器を前に話す柏木医師=都城市・橘病院
平成15年3月28日宮崎日日新聞に掲載
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